バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2015年5月13日水曜日

事故が起きた,そのときのために

化学実験で一番おそろいのは事故です.

皆さんが思う科学者のステレオタイプ(この辺りもいつか記事にします)はどんなものでしょうか?
よくあるイメージは,試験管の中の液を混合して,

どかーん!

と爆発する,アレですよね.

実際,あんな毎日だったら,消防署から怒られてしまいます.
恐らく実験停止処分とか,何らかのペナルティがあるでしょうね.


そんなわけで,今日は事故と安全対策のお話です.




まずは,以前にもコメントを頂きました,廊下にあるシャワーです.
これは薬品を頭から被るような大事故が発生した場合に,それらを洗い流すための装置です.
家庭用のシャワーと違って,ONのみ.一度取っ手を引くと,タンク (4 Lくらい)が空になるまで水が一気に流れ出します.
化学実験をする組織なら,どこにでもあるのではないでしょうか.

では,使ったことはあるのか?と言われると,私は経験したことがありませんね.
年に1,2回,水の入れ替えと点検の目的で流す程度です.


続いて,こちらも定番の消火器です.
消火器って,いろいろな種類があるんですよ.
例えば,消火剤の溶液が出てくるタイプがありますが,化学系や電気系の火事でこれを使うと逆効果です. 化学系の火災の多くは,水と激しく反応する物質(金属ナトリウムなど)が原因で発生するので,さらに水溶液をかけると事態が悪化しますからね.
電気系の火災では,単に機器がショートして漏電するだけです.

ここにあるのは,粉末式消火器.他に,二酸化炭素式も有効です.
また,消火砂という乾燥した砂をバケツに入れておき,火災時に火元に一気にかけることも あります.

残念ながら,消火器は使用経験が豊富です.
幸い,人損・物損ともに被害は出したことはないのですが,実験中に発火・引火して消火器で消火したことは何回かあります.

当然ながら,消火器の特性や火災ごとの消火方法は熟知していますね.
これはもちろん,事前の座学で頭にたたき込んだ物ですが,実際に訓練や地域の防災館を訪ねて,消火器の使用についても身につけておくことが肝心です.

 
  
水にも気を配る必要があります.
以前に,利根川水系にヘキサメチレンテトラミンという薬品が流れ出て,ホルムアルデヒドが検出されて大騒ぎになったことがありますね.確か,あのときは1日~2日間は断水だったはずです.

このように,薬品を水に流すなんて,言語道断です.
上のポリタンクは,薬品や実験廃液を貯蔵・保管し,産廃処理業者に託すためのタンクです.
ちなみに,実験系の排水はきちんと監視されていて,異常があるとすぐに排水を遮断できるようにもなっています.


この写真は以前にも登場しましたね.ドラフトチャンバーといって,有毒ガスの漏洩を防止する風防です.
写真では分かりませんが,ものすごい勢いで周辺の空気を吸い込みんでいて,ティッシュペーパーなんか吸い込まれてしまいますし,下手をすると部屋のドアがドーム球場の出口みたいに,閉まらなくなったりします.
これくらいのパワーで吸引すれば,まず毒ガス漏れの事故は起こらないでしょう.

このように,火・水・空気すべてに対する対策が施されています.
他にも,白衣など実験者自身を守る装備品もあります.記事が長くなったので,機会があればまた紹介しましょう.


 
 

2 件のコメント:

  1. 高坂さん
    いや~、面白い!なんていうと不謹慎かもしれませんが、
    正直、目が点です。
    また、いろいろ教えてください。
    勉強になりました。

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  2. 中原さん

    こういったところは,大学公開でも紹介しませんからね.
    まさに研究の裏側です.

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