バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2015年5月15日金曜日

新しい論文が出ました(しばらく無料公開中)

今日は論文を相手にした一日でした.

論文と言ってもイメージがわかないと思いますが,いわば科学者同士の情報交換ツールの一つです.
学会発表とは違い,その場限りではないので,研究の公式記録と呼べるかもしれません.

音楽でたとえると,学会がライブコンサート,論文がCDといったところでしょうか.
そして,CDにもシングルとマキシシングル,アルバムがあるように,論文にも速報,報文,総説と3種類があります.

速報(音楽で言うシングルCD)はその名の通り,重要な発見を迅速に伝えるための短い論文で,通常2-3ページ程度です.英語だと今でもコミュニケーションとかレターといって,急いで広く伝えたいニュアンスが残っていますね.
報文(マキシシングル)はいくつかのデータをまとめたり,速報にその後の実験を追加したりして,説得力を出した論文です.
そして,総説(アルバム)はたくさんの論文から,ある概念を伝える教科書のような記事です.

今日無料公開された私の論文は,この総説に相当します.
一定期間を過ぎると有料になりますので,興味のある方はお早めにどうぞ.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koron/advpub/0/advpub_2015-0003/_article/-char/ja/

また,今日は速報も一つ投稿しました.
非常に面白い研究成果なので,いつか紹介できればと思います.

そして,論文の査読も行いました.
昨年,ニュースでも論文不正が話題になり,査読についても注目されましたね.
これは,研究者同士が投稿された論文の内容を審議して,妥当な成果か,科学的に矛盾はないか,他人の成果を盗用していないか,などを審査する仕組みです.
もっとも,論文と同様の手法で再実験をしていたら,時間も掛かりますし,お金もかかります.
そもそも査読は公平のため,秘密裏にボランティアで実施しますから,再実験のために費用を申請するわけにも行きません.
そんなわけで,審査と言っても,データの解釈や論理に関する指摘が大半で,まさか実験データ自体が捏造,改ざんの産物である,なんてことまで審査しません.
この点が大きな問題になったわけですね.

最後に,月刊「化学」で興味深い記事を見ました.
それは,若かりし頃のニュートンが,重大な発見について論文を書いた物の,若気の至りで表現が甘く,ホイヘンスなど当時の著名な科学者から「掲載拒否」の結果を受けたという内容でした.
ニュートンは30年以上後に論文を書き直し,「掲載許可」に至るのですが,記事ではその過程から若手研究者に論文の書き方を指南していました.
現代にも通ずる査読や論文執筆の慣習が400年近く前に確立していたということで,非常に面白い記事でしたね.

研究は,論文に成って初めて「成果」として認められます.
私も沢山論文が書けるように,尽力したい限りです.


4 件のコメント:

  1. 高坂さん
    前にも書きましたが、小生は文系(スペイン語専攻)なので、科学技術の論文の世界は、現職に就いてから少しずつ認識し始めているところです。
    今回の投稿で、科学者の世界の流儀を垣間見たような気がして、大変面白く読ませていただきました。ありがとうございました。

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  2. 小倉(ジャパンプライズ)2015年5月18日 16:15

    ニュートンの論文が掲載拒否されたとは。。。
    誰でも最初からできたわけではないのですね。ちょっと安心しました。

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  3. 中原さん

    そうですね,論文といてもピンときませんし,現物を読んでも理解できませんから,結局よく分からない存在ですよね.

    同じ自然科学でも,医療系の論文は,私たち化学系の論文とはまた違うそうです(まぁ医者と科学者は職業も違いますしね).医薬系の受賞者の方のお話も聞いてみたいですね.

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  4. 小倉さん

    記事の詳細は転載になるのでお伝えできませんが,
    確かに「掲載拒否」される論文でしたね.
    だからこそ教科書になるのですが.

    内容も重要ですが,わかりやすく伝える修辞術も大事なんです.例えば,アインシュタインの相対性理論についても,しばらくは価値を理解できる人間が現れなかったそうですから.

    私も論文を書いていて,途中で「あれ?」って思って書き直すこともあります.同じデータでも,書き方によって価値が大きく変わってしまうんです.

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