バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2015年9月4日金曜日

テニュアトラック助教!?

皆さん,毎回このブログの冒頭に登場する,私の肩書きをご存じでしたか?

テニュアトラック助教

何とも不格好な字面ですね
私の名前が高坂(こうさか)と重箱読みであることも相まって,
ますますへんてこな感じです.

今日は,その「テニュアトラック」について紹介します.




日本の大学では,一般に

教授 - 准教授 - (講師) - 助教 - (ポスドク) - 大学院生 - 学部生

という職位(階級)があります.括弧内は臨時のポジションです.

各職位の役割分担は文系と理系,関西と関東で文化が違うんですが,
某サイトで関西で理系の場合を軍人で比喩していて,非常に解りやすかったので,
このアイディアを拝借して説明します.

教授 (将官/社長): 戦略統括,組織運営,資金調達
准教授 (佐官/部長): 教授を補佐しつつ,中隊を率いて独立作戦を指揮.
講師(課長): 助教と准教授の中間で,助教より講義など教育・運営業務が多い.
助教(尉官/係長): 現場レベルの細かい指揮,指導が主な業務.
ポスドク(軍曹/主任):  作戦の実行部隊

------(ここまで博士の学位が必要だが,プロの研究者で給料あり)-------

大学院生(伍長/正社員): 作戦の実行部隊(研修中)
学部生(二等兵/アルバイト): 見習い

という感じです.
ポスドクを雇える資金豊富な研究室はごく一部ですから,通常は研修中の大学院生が研究の主戦力です.


この制度ではチーム体制がしっかりしているので,全滅(倒産)という状況は滅多に起きません.
つまり,研究アイディアが全部はずれる,とか,研究資金がことごとく当たらない,というリスクが少ないので,安定して研究を進めることができます.

会社で言えば,大企業ですね.

その反面,若手の研究者は教授の戦略下で研究する場合が多いですから,
例えば合成化学の教授の研究室で,物理化学を研究する,という機会は限られます.

一方,海外のノーベル賞受賞者(最近では日本でも)を眺めてみると,
受賞対象となった研究は20-30代で着手していることが多いのです.

そういった背景もあって,若手研究者も独立して研究させよう, という試みが始まりました.
少し前に「助手」が「助教」に,「助教授」が「准教授」に改訂されたのも,この一環です.

それをさらに発展させた制度が,テニュアトラック制度です.
 
これは,若手研究者に完全に独立した研究環境を与えて,一定期間で成果を上げれば,正規の教員に採用するという制度です.

いってみれば,ベンチャー企業ですね.

まぁ,実際は日本の大学の運営システムを覆すことは難しく,名目倒れの場合も多いようですが,
信州大学ではこの理念に忠実にプロジェクトを推進しています.



私も幸い,この制度を利用した「テニュアトラック助教」に採用されましたので,
独立した研究水津で研究活動を進めています.


このたび,科学技術振興機構(JST)のテニュアトラック普及・定着事業に本学が改めて採用され,研究室立ち上げの特別予算が供出されることになりました.

お陰様で,研究室が急速に充実しつつあります.
明日から,その詳細を報告できればと思います.

納税者の皆さまに感謝しつつ,研究に励みたいと思います.

2 件のコメント:

  1. 研究者の世界のことが良くわかる説明ですね。
    高校生レベルの人たちが、「理科がすきだから、数学が得意だから、、」あるいは、「国語、社会、英語系が苦手だから」と言う理由で理工系に進み、何となあ~く卒業していくのが、すごくもったいないと思っています。
    研究者の生活、考え方、つらさ、楽しさなどについても
    肉声を直接聞かせてあげることが、非常に大切です。
    「やさしい科学技術セミナー」期待しています。

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  2. 中原さん

    まったく同感です.
    実は私自身,高校生の頃に研究者になろうと重いながらも,実際の研究者の生活がよく見えて来ず,大学院に進むまでイメージがわきませんでした.

    子供の夢って,野球選手とか芸能人とか,本当に目に付く職業に偏ってしまいますし,それも表舞台しか見ていませんよね.
    このブログやセミナーで,研究者の表・裏をお見せできればと思います.

    前にも書きましたが,それでも私は「この仕事が好きだから」やってるんですけどね.

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