バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2016年6月30日木曜日

新しい総説が出ました!(しばらく無料公開中)

今回は珍しく日本語の論文です!

高分子学会が刊行する高分子論文集に,新しい総説が掲載されました.
地味に初めての単著での論文です.


α-機能化アクリル酸エステルの重合化学 —精密重合・機能創成を目指した分子設計—

髙坂泰弘高分子論文集,早期公開 (DOI: 10.1295/koron.2016-0024)


「高分子科学・工業のニューウェーブ」という,若手の登竜門枠に採択頂きました.
審査頂いた皆様に感謝申し上げます.

私の専門は高分子合成です.
高分子合成の花形は重合化学で,低分子をいかに精密に組み上げるか,という精巧な反応設計・技術に醍醐味があります.

例えば,金澤有紘先生(阪大)の下記の総説では,A, B, Cの分子をABCの順序でABCABCABC....と秩序立てて連結する戦略が述べられております.非常に面白い研究ですので,是非ご一読下さい.


ビニル付加・開環同時カチオン共重合:ビニルエーテルとオキシラン間の交差生長反応を伴う共重合系の開発

金澤有紘,高分子論文集,早期公開 (DOI: 10.1295/koron.2016-0026)


一方,私の研究では原料となる小さな分子自体に仕掛けがなされており,特殊な化学反応を使用しなくても,高分子の精密合成や機能創成が可能になる点が特徴です.

何せニッチな研究なので(低分子合成は有機化学,重合は高分子化学が担当するので,まさに隙間産業!),ライバルが少ない反面,下手をすると何がしたいのか全く理解できない部分だと思います.
ですので,ずっとまとめて研究を説明する機会が欲しかったのですが,こうして機会に恵まれ,大変有り難く感じています.

実は,まだ載せられていない最新の成果や考え方があるので,またの機会に是非報告できればと思います.


2016年6月4日土曜日

ハンガリー出張5 ついに講演!

「リビング重合と高分子の国際会議」に参加するため,ハンガリーはブダペストに来ています.
今日は学会の最終日,ついに私の研究発表です!

今回は初めての招待講演,しかも会場を分画することなく,出席者全員が参加するシングルセッション…これまでお金を払って発表の機会を「買っていた」,一般講演とはワケが違います.

最終日だけに既に帰ってしまった参加者もいましたが,この日はポスター撤去日ということもあり,思った以上に出席者が多かった印象です.



というわけで,こんな感じで最新の研究成果を発表して参りました.

今回は直前に神戸出張,直後に講義3件と東京出張が重なり,とても忙しく,また1回の練習に30分もかかるため,ほとんど練習する余裕がありませんでした.通しで話したのは,1回だけ!?
とはいえ,講演内容には自信があったので,あまり緊張もせず,むしろ「♪俺の話を聞けぇ~」という調子で喋ることができました.

結果として,自分的には過去の英語講演(下手したら日本ご講演も含めて)では一番うまくいった気がします.良かった良かった…

講演終了後,制限時間いっぱいまで相次いで質問が出ましたし,講演後も何人かから問い合わせがありました.また,とある研究者からは「インスピレーションを刺激する素晴らしい講演だった」との言葉も頂戴し,感無量です.

心配だった質疑応答も,ほぼ100%聞き取ることができました.
実は前日までの講演では質問の70%程度しか聞き取ることができず,かなり心配していたのですが,どうも座っていた場所が音響的に悪かっただけみたいです.留学生を送り出して以降,英語力はどんどん劣化しているので,心配だったんですけど,何とかなりました…

もちろん,反省点はあって,質問の意図を一部勘違いしていたことや,細かい文法,そして舌を噛んでしまい (competitiveとかtacticityとか,toxicityとか,舌噛むでしょ!),諦めて別の表現に変更せざるを得なかったこと,などなど.
質問については,後々考えると相手は基本的な事項の確認をしたかった模様ですが,もっと高度な話をしてしまいました…まぁ,結果的には同じ回答内容なんですが,表現の仕方がやや的外れだったかと思います.

とはいえ,こうした舞台を経験できたことは自分にとって大変素晴らしく,今後の自信にもなりました.この調子で来年も頑張ります!

2016年6月2日木曜日

ハンガリー出張その4 公式観光ツアー

「リビング重合と高分子に関する国際会議 (LPP16)」に参加するため,ハンガリーのブダペストに1週間ほど滞在しています.

今日は午前と午後のセッション(研究発表・討論)の合間に,学会主催のブダペスト観光ツアーがありました.国際会議では,こうした「おもてなしイベント」がほぼ毎回用意されています.
 ちなみに,私は招待講演者なので,参加費は無料です.決して税金で遊んでおりませんので,念のため.

観光ツアーは2時間ほど.日本で言うところの,はとバスツアーでしょうか.
オープン式2階建ての観光バスに乗り込み,英語で解説を聞きながら,ブダペスト市内の名所を巡る旅です.

学会会場から北上し,ブダペストのブダ,ドナウ川の西岸を進みます.
この辺りはカルスト地形で,丘や洞窟が点在しています.


下は,街のシンボルでもある女神像.後でこの像の真下まで行き,街を見下ろします.


王宮の丘.丘あり階段あり,まさにドラクエの世界ですね.


続いて,川を渡って東岸のペストへ.ブダとペストが合体してブダペストです.
写真はヴァイダフニャド城.落ち着いて綺麗な場所ですね.


そして,英雄広場へ.ハンガリー建国1000年を記念して建立されたそうです.
何となく,台湾の中正紀念堂やワシントンD.C.のリンカーン記念堂を彷彿とさせますね.


こちらはヨーロッパ最大級の温泉,セーチェニ温泉です.
ここでは温泉につかりながら熱燗…ではなく,温泉につかりながらチェスができるそうです.


ブダに戻り,ゲッレールトの丘(女神像のある丘)から街を眺めます.


ペスト側.こっち側は平坦な土地です.


とまぁ,こうして世界の研究者が大挙して街を巡りました.
昼食後は,ふつうに夜まで研究発表と討論でした.



2016年6月1日水曜日

ハンガリー出張 その3:世界の研究者と

前回,観光を終えたところまで書きました.

学会会場に辿り着くと,初日は歓迎パーティーです.
単に飲み食いして,おいしまい.景気づけの恒例行事ですが,久々に世界の研究者たちと顔を合わせるわけで,重要なイベントでもあります.

去年会ったよね!とか,覚えてるよ~とか,あの研究のDr. Kohsakaか,とか言われると嬉しいものです.この研究分野に転じて5年目,こうして認知して頂き,ただただ感激です.
このまま,忘れられないように頑張らないと行けません.

学会2日目からは,いよいよ研究成果の発表会と討論が始まります.
それに先立って主宰者が述べた開会の辞が素晴らしく,感動していたら,他の皆さんもそう思った模様.過去の歴史,先達の功績を立てながら,新しい時代へ向かうぞ,という内容でした.

大方の研究発表は陳腐化していて,学生の講演も多く,物足りなく感じていたところでしたが,ときどき鋭く面白い研究発表があり,今後の展開が楽しみです.
いま,この分野は円熟してきていますが,そんな今だからこそ,次の大きなパラダイムシフトを起こすぞ,という意気込みが感じられる講演もあって,エンジョイしています.

明日は2時間ほど,学会の合間に観光イベントもありますので,楽しみです.