バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2016年9月6日火曜日

GTOを衝動買い

ずっと欲しかったGTOを衝動買いしてしまいました!

もちろん, Great Teacher Onizukaでも♪Poisonでもないですよ!
初代のドラマは結構好きでしたけど…

GTO, 正しくはGlass Tube Oven,ドイツ語ではクーゲルロール(棒と球)はこんな外観です.


簡単に言えば,簡易蒸留装置ですね.
写真だと分かりにくいのですが,真空下,ヒーターで試料球を加熱してサンプルを気化させ,自然冷却により凝縮させて精製する装置です.

混合物から揮発性の物質のみを回収するときや,沸点差が大きい物質を分別する際に便利です.

私の研究では,空気や水,熱によって劣化する化学物質が登場します.
試薬の購入直後,あるいは物質の合成直後は高い純度を保っていても,次第に劣化して研究に使えなくなることがあります.

また,不安定な物質を安全に輸送・保管するために,防腐剤のような添加物を加えていることもあります.この場合,実験前に添加物を除去しなければなりません.

こうしたときに,いちいち蒸留装置を組み上げるのは大変ですし,いわゆるリービッヒ冷却器は固体の蒸留には不向きです(留分が固化して詰まってしまう).

そこで,クーゲルロール(私はドイツ語で呼ぶ派)が活躍します.

この装置,日本ではあるメーカーを除いてほとんど生産されていないため,見た目以上に高いんです.
ですが,導入後に早速稼働させて思いました.買ってよかった!と.

やはり,道具があって初めて研究がはかどりますね.
実験の効率も精度もが大幅にアップしました!!



2016年9月5日月曜日

祝・10000アクセス!(追記)

先ほど,当ブログの総アクセス数が10,000回に達しました!!

開設から約1年半での達成に,有り難く思います.

思えば,急に研究室を立ち上げることが決まったのが2年前の11月.

立ち上げ資金が不透明な中,
何としてでも資金を収集 すべく,
様々な研究アイディアを企画書に起こしては,あちこちの財団の助成に応募しました.

国際科学技術財団様もその一つで,11月末が公募締切だったことから,
かねてから温めていたアイディアを急ぎ申請書にまとめた記憶があります.
その後,私の企画を採用して頂き,
その対価として

研究ブログの執筆 と やさしい科学セミナーの開催 

を受諾しました.

こうして実名で研究ブログを書くことには,かなりのリスクがありました.
所属大学を含め,関係者の迷惑にはならないか…
ブログを書くことに批判的な研究者も多いため,
結果的に学会における自分の立場を悪くすることにならないか…

ただ,私は研究歴より科学技術コミュニケーション歴(何度も言いますがこの言葉は嫌いです)の方が長い異色の研究者で,
そうした経緯も含めて研究助成に採用して頂いたようでした.

この方面の活動の重要性は認知しており,
特に プロの研究者として言葉を社会に発信 する意義は大きいと考え,研究ブログを形式的なものにせず,継続的に更新することにしました.

また, 研究室を立ち上げる ,という,
研究者でも滅多に体験できない稀有な状況が重なり,
その記録,備忘録として同業者に発信する意味もあると考えました.

こうした経緯で,仕事の合間を縫って,本日まで65本の記事を執筆してきました.
実は1周年の折に,「ブログを閉鎖してもよい」という話も持ちかけられましたが,継続の意思を伝えていまに至ります.

ちなみに,やさしい科学セミナーの動画は90分の超大作にもかかわらず,
公開半年で再生数は既に550回を超えております.
この種の動画としては,かなり多い再生数です.こちらも併せて宜しくお願いします.

これからも可能な限り更新を続けていきますので,どうぞよろしくお願いします.

追記


開設(2015年4月)から現在までのアクセスチャートです.
こうしてみると,更新しただけコンスタントにアクセスして頂いていることが分かります.

記事別に見ると,アクセス1位はテニュアトラック制度に関する説明記事で,3位が科研費の記事.特に科研費は半年足らずで300回以上の閲覧がありました.
いずれも,同業者からの関心が高いことが伺えます.

2位は研究論文に関する記事で,こちらは私がホームページからリンク先を間違えて貼ってしまったことに起因しています.ただ,論文とは何か,という説明書きが附されていて,そういった研究の裏事情への関心の高さも理由の一つのようです.

アクセス元は1位が国際科学技術財団のページで,次がなんとGoogleです.
やはり,研究のホットな話題が検索に引っかかったためと思われます.

以下,私の研究室の新旧HPへと続きます.




2016年9月1日木曜日

量子化学計算ってスゴイ

久々の更新です.最近,超超超超多忙で,ほとんど眠れていません.
しばらく更新も停滞しますが,お許し下さい…

さて,標題の化学計算です.
こんな画像を書き出しています.

アセトン分子の静電ポテンシャルマップ

私は合成化学が専門なので,
新しい分子を自分で設計し,従来にない化学反応や性質・機能を発見する研究をしています.

この「分子の設計」というプロセスですが,
通常は過去の先駆者や自身の研究結果や,
新分子のパーツとな原子群の基本的な性質を参考に考えていきます.

しかしながら,それにも限界があります.
そこで,理論計算に基づいて分子の構造や性質を再現する手法が研究されています.

私は理論化学者ではないので,計算理論・手法の開発は分野外ですが,
最近,手軽にパソコンで計算できるソフトウェアを購入し,研究に役立てています.


上の図は,1,3-ブタジエンという分子に,どのようにパイ電子が分布しているかを計算した結果です.この図は有機化学の教科書には必ず掲載されていますが,全く同じ図が再現できました.


こちらは講義用のスライドですが,ブタン分子の結合回転がエネルギー的にどんな障壁を与えるか…要は,分子模型をねじって変形させるとき,どれだけ力が必要か…を計算した結果です.

ここに研究データを取り上げるわけにはいきませんので,教科書レベルの計算結果のみで恐縮ですが,こうした計算的な理論予測を仮想分子に適用して,新しい物質を開発しています.

明日発表するとある成果では,こちらの予想を超える実験結果が得られて困っていました.
計算化学ソフトを購入してすぐ検証したところ,理論予測が実験事実をよく説明しているので,とても驚きました.いろんな情報が得られるので,面白くて便利なツールです.