バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年1月13日金曜日

学生実験2:化学反応が見た目でわかる

前回に続き,学生実験のお話です.
(前編を未読の方はこちらをどうぞ.)

はじめに,前回の葛藤から定めた基本方針を再掲します.

1. 化学反応が目で見てわかる
2. 分子設計が高分子の材料特性に与える影響を触って体感できる
3. 同じ物質を異なる手法でで作る
4. 定番ではなく,安直なネット検索では資料がヒットしない
5. 最新の研究成果を織り込む

なぜこうなったかというと…

1. 化学反応が目で見てわかる

化学を教えていると,対象が目に見えないことに苦労します.

例えばpH(水素イオン濃度)についても,言葉だけではイマイチぴんと来る現象ではありませんが,現実には酸性雨が降り,レモンは酸っぱく,打ちっ放しのコンクリートに溜まる水たまりは強アルカリ性です.

pHについては,リトマス紙などの指示薬を加えると,目に見えるようになります.
ストレートティーにレモンを加えると,色がわっと変わるのと同じです.

それで,ピンと来ました!



フェノールフタレインです.この試薬はアルカリ性水溶液で赤色を呈する性質がありますが,実は重合してポリエステルにすることができます.

早速実験してみると…


 

  

こんな感じでどんどん色が消えていきます.
フェノールフタレインが反応して,ポリエステルに変化している証拠です.

実際にポリエステルを回収してみると,こんな感じです.


粉末ですが,あまりポリエステルっぽくないですね.

実は今回は色が消えることを重視したため,高分子合成に最適な条件設定から意図的に外してあります.いわゆるポリエステルは分子量が数万以上の巨大分子(フェノールフタレインが50分子以上連結している)ですが,今回のは分子量が数千(フェノールフタレイン数分子~10分子程度が連結)です.

あと,実験操作を端折っているので,高分子以外の不純物が結構混ざっています.

この辺りは実験後の「考察」の対象になるのですが,果たしてどんなレポートが出てくるでしょうか.

長くなりましたので,続きは次回に回します.

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