バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年1月25日水曜日

学生実験5 最新の研究成果を織り込む

ここ最近は,学生実験の話題を連載しています.
(未読の方はこちらをどうぞ.)

毎度ながら,今回の授業の基本方針を再掲します.

1. 化学反応が目で見てわかる
2. 分子設計が高分子の材料特性に与える影響を触って体感できる
3. 同じ物質を異なる手法でで作る
4. 定番ではなく,安直なネット検索では資料がヒットしない
5. 最新の研究成果を織り込む

今回は最後の項目, 5. 最新の研究成果を織り込む について記載します.

せっかく新しい実験を企画するので,過去にない内容を盛り込もうと考えていました.

私の研究室では,高機能な生分解性プラスチックの合成をテーマの一つに掲げています.

一般には生分解性プラスチックは金属触媒を用いて高温で1時間以上加熱して合成するのですが,約10年前に発見された有機分子触媒を使用すると,室温で,たった1,2分で反応が完結します!

これは革命的な発見で,以来世界中の研究者がこぞって研究を進めており,
現在でも最新の研究成果が相次いで発表されています.

私はこの反応を利用するだけのエンドユーザーですが,
大変便利で有り難い発見だと思っています.

そうえば,今回の学生実験は

1. 化学反応が目で見てわかる
3. 同じ物質を異なる手法でで作る

という指針がありました.

生分解性機能ポリマーを従来法で合成すると,高温で融けた液体原料が固体になりますので,化学反応が見た目でわかることになります.
また,先述の最新の手法と比較すれば,3. 同じ物質を異なる手法でで作ることにもなり,かつ5. 最新の研究成果を織り込むことができます.最先端と言うだけでも,少しはモチベーションが上がるのではないでしょうか.

もちろん,最先端だけに不測の事態も考えられます.
少々心配していましたが,高分子学会の会報にも同様の実験を紹介する記事 (PDF) があり,自信を持って企画を実行することができました.

問題は…ランニングコストです.
最先端だけあって,試薬が非常に高い!!

幸い,他の実験で使う試薬をメーカーから提供頂けることになり,何とか実施することができました.今回まとめ買いしたので,向こう5年は大丈夫そうです.

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