バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年2月19日日曜日

閲覧回数が15000回を超えました!

お陰様で当ブログの閲覧回数が15000回を超えました.

「そんなことでいちいち投稿するな」と言われそうですが,私は掲示板世代でして,キリ番を踏んだらコメントするよう慣らされているのです.

近況についても報告したいことがあるのですが,いかんせん先日インストールしたATOK先生から,「いい加減に休め」と言われ続けて3時間が経過しました.

いつの間にそんな機能が!と驚きつつ,私自身もこの後,深夜の道路を運転して帰る必要があるので,またの機会にしたいと思います.あしからず.

2017年2月14日火曜日

ベルギーへ向けて

今日はバレンタインデー,バレンタインとればベルギーチョコ・・・と無理矢理のこじつけですが,5月にベルギーで講演することが正式に決まりました.

The 12th International Conference on Advanced Polymers via Macromolecular Engineering (APME2017) 日本語訳:高分子工学による先進ポリマーに関する国際会議
リンク先に私の写真が載っています)

会場はヘントという奈良のような街で,
日本ではサッカーの久保裕也選手が在籍しているチームの本拠地として有名です.

発表は先日の論文を中心に,最新の研究成果について講演する予定です.
この実験の成果も話しますよ!
いま,詳細を詰めるべく実験を進めていますが,早く論文にもしたいところです.
正直,内心予定を(いい意味で)狂わせるような大発見がないかと期待しています.

今年は(予算があれば)イギリスにも行く予定なので,またいろいろと現地レポートできればと思います.

2017年2月11日土曜日

論文に嬉しい反響!

先日発表した論文が,印刷体として正式に出版されました.


Polymerization of α-(halomethyl)acrylates through sequential nucleophilic attack of dithiols using a combination of addition–elimination and click reactions

Yasuhiro Kohsaka,*   Keito Hagiwara and    Keiichiro Ito

Polym. Chem., 2017,8, 976-979






そして予想外の嬉しい反響が!

なんと,最近引退されたこの分野のパイオニアから「面白かった」とのメールが.
もちろん私は20~30年前に出版されたこの方の論文を何度も熟読していますが,直接の面識はありません.
海を越えた遙か遠くの,世代的にも私の父と同じくらいの研究者から,こうして感想を頂けるとは光栄です.

また,現在では廃刊になった雑誌(私は知りませんでした)に掲載された,30年前の論文を紹介していただきました.
早速図書館に向かうと,なんとその論文があったんです!

私の所属する信州大繊維学部の図書館には,驚くほどに素晴らしい蔵書があります.
これは研究をする上で貴重な財産なのですが,今回,まさにその財産の恩恵を享受したわけです.

早速論文を拝読すると,報告されている実験結果自体は予想の範疇に収まるものでしたが(30年前の論文ですから,その成果の上に立って研究している私の立場からすれば,内容が予想通りなのは当然です),なんとその一節に驚くべき記述が!そこには,将来展望としてある現象を仮定しているのですが,それはまさしく私の最新の研究結果(上記論文とは別)に繋がる内容だったのです.

もちろん,かなり拡大解釈すれば,という注釈がつきますし,その現象の解釈も大きく異なるのですが,30年前にその可能性について言及されていた,その事実に改めて敬意を表したいと思います.

実は昨年の学会でも,この分野の別のパイオニアで,すでに第一線から引退された先生にお声がけいただきました.今回の論文に関して,ご興味を抱かれたようです.

こうして研究を通じて,世代や国籍を超えてお話ができるって,嬉しいですね.
まぁ古くさい研究をしていると言われればそうなのですが,それが私の趣味なので致し方ないかと.

また,この論文について海外で講演する機会に恵まれたので,そちらも嬉しく,かつ,ありがたく存じます.
春には研究室も増員ですので,期待以上の成果が発表できるよう,今度も頑張りたいと思います.

2017年2月8日水曜日

卒論のスライド作り

卒論や学会の前になると,ふだんとは違う仕事がやってきます.

それは,発表スライドの作成指導です.

もちろん,私は広告代理店やデザイナーではなく,一介の科学者に過ぎません.
当然格好よいスライド作りは教えられませんが,それでも自分の経験から,学生を指導するのが務めです.

それで,これはなかなか辛い業務だなと思い始めました.
状況が説明しにくいので,少し具体的に考えてみましょう.

皆さん,「5分で話せる桃太郎の紙芝居を作ってください」と言われたら,どんな絵を描きますか?

こういうのはおおよそ相場が決まっていて,

1. 洗濯してたら桃が流れるの図
2. 桃から赤ちゃんが生まれるの図
3. 旅立ちの図
4. 仲間が集まる図
5. 鬼ヶ島での戦絵巻
6. 宝箱を運んで凱旋の図

まぁ,こんなところでしょうね.
なぜこうスラスラと答えられるかというと,物語の要点や名場面が把握できているからだと思います.

実は研究発表のスライドも同じで,まず研究をスラスラ説明できるほどに頭を整理しないと,うまい発表が作れません.研究の課題と目的,実験とその解釈,そして成果の評価を把握してから作業に取りかかるべきです.

逆に先にスライドから作ってしまうと,場合によっては削除せざるを得なくなります.
例えば先の桃太郎で「精巧な柴刈りの図」を描かれてしまっても,5分の枠内でそれを活かすことはできないのです.とはいえ,あまりにも立派なスライドだと,削除するにも哀れな気分になります

さらに悲劇的なのは,実際に研究で苦労した部分と,発表で強調すべき部分が一致しない点です.例えば9ヶ月かかった実験と,その結果を受けて実施した2週間の実験では,後者の方が大事だったりします.
このあたりを冷静に受け止められると助かるのですが.「あんなに苦労したのに発表しないのかよ!」と恨まれると,私も困ってしまいます.いつもフォローに気を遣う部分ですね.

情報過多のスライドは,混乱を生むだけで逆効果です.
例えば「スターウォーズの内容で5分の紙芝居を作れ」なんて無茶な要求です.
この場合は主人公のみにスポットを当てるか,大局のみ説明するか,思い切った情報の削除が必要でしょう.

研究も同じで,大局に影響しない,例えば「念のため確認しておいた」ような実験は,質問が来ない限り表舞台には登場しません
(論文でもページ制限があると割愛しますが,これらは別添資料として発表するので,まだ状況はマシです).

こうして苦労した実験が日の目を見ることなく終わると,ますます悲しくなります.

華のある研究発表ですが,指導者にはむしろ残酷な作業なのかもしれません.



2017年2月7日火曜日

研究者のパソコン事情

私は有機化学者なので,ベンゼン環をよく描きます.

学生の頃は正六角形でないと気が済まず
神経質にもテンプレートを使用してベンゼンを作図していました.
当時は六角形を製図できるテンプレートを探すのに一苦労しましたが,いまでは母校がこんなグッズを販売していて,思わず衝動買いしてしまったのです.
このデジタル時代に「何やっているの!」と言われそうですが,学生の誤答を訂正するときなど,意外と役に立っています(というより,初めから本当に必要だから買いました)

とはいえ,やはり時代はデジタルです.
研究では古い論文も読むので,タイプライターで書かれた文書や,テンプレートで作図された化学構造式にもしばしばで合いますが,もちろん現代ではMicrosoft Word LaTeX で論文を書き,専用ソフトで化学式を描画します.

構造式描画だけでなく,分子構造を決定する際に使用するスペクトル(光の波長と強度のグラフ)を解析するためのソフトや,分子の振舞いを予測する量子化学計算ソフトなど,様々なソフトウェアを駆使して研究します.

こうしたソフトウェアはMicrosoft Officeのように誰しもが使う汎用ソフトではないので,マーケットは非常に狭くなります.一方で化学とコンピュータの双方にわたる高度な専門知識を要求されますから,開発は簡単ではありません.
当然ライセンス料も高く,安いソフトでも3-5万円,平均すると20~30万円前後で,高いものは1年間の利用だけでも100万円前後になります.

そんなソフトウェアを個人で購入できるわけがなく,研究費を工面して購入します.
これまで私は作業内容に応じて,私用PC3台と公用PC4台を並列して使用してきました.

なんで私用PCを使っているのかというと,OSとハード,ソフト双方の互換性が悪かったり,学生時代に私費で購入したCG関係のソフトが使いたかったり,職場を移る際に私用PCの方が便利だったり,共同研究先が特殊なPC環境で作成したファイルを送ってきたり,いろいろです.要は,高いソフトだけ公費で買い,公用PCにインストールして使う,といった運用をしてきました.

もちろん滅多に起動しないPCもあるので,実際は2-3台の併用で済みますが,これでは非効率的です.

そこで,今回研究費に若干の余剰が発生したのを機に,新しく公用PCを購入し,必要なソフトウェアも最新バージョンを公費で購入し直して,念願のPC環境統合と相成りました.

今回はMicrosoft Officeは当然として,ほかに化学研究に必須なChemBioOffice,CGを描画するAdobe関係のソフト,HP管理に関するソフト,スペクトル解析に必要なソフト(PC移行可能なソフトのみ)をインストールしました・・・と,こうした高価な特殊ソフトばかりに注目していたので,肝心なものを忘れていました!

ATOK2017です!(注:日本語入力ソフト)

うっかりしていましたが,これ重要です!

何せ私が使う専門用語一式が記録されているわけで,実際にPC移行一日目は諦めてMicrosoft IMEやGoogle IMEで我慢していましたが,結果作業効率が著しく低下しました!

もちろん,これらのソフトにデータを移行して記録させれば事足りるのですが,その他細かい操作性などの問題もあり,結局ATOK2017を購入することにしました.

もう作業効率が全然違って,論文もブログもサクサク書けます.
これでいよいよ,効率よく仕事ができることになりそうです!



2017年2月6日月曜日

卒論シーズン到来!

今年も修士論文,卒業論文のシーズンがやってきました.

自由にテーマ設定を選ぶ文系とは異なり,理系の研究室(ゼミ)では会社のようにプロジェクトを進めていきます.
(少なくとも当研究室では)研究テーマも科研費や産学連携など,例外なく社会的責任のあるプロジェクトですから,指導教員もただ傍観しているわけには行きません.学生と一緒に実験を進め,データを解析し,適宜指導や助言を与えながらゴールを目指します.

その総仕上げが,卒論発表ですね.
もちろん,真のゴールはこうした学内限定の行事ではなく,学会や論文での成果発表,そしてプロジェクトに掲げた目的を完遂して社会に貢献することです.
しかしながら,それは「研究室」としてのチームのゴールに過ぎず,学生個人にとってはやはり卒論は大きな関門です.

先生と議論を交わし,データを並べて再解析すると,これまで見えていなかった事実が見えてきたり,問題が洗い出されたりします.

そんなわけで,これから2月いっぱい,師弟ともども忙しくなります.
今年は3名の卒業生がおり,また共同研究先も含めると途方もない数字になりますが,頑張りたいと思います.

2017年2月2日木曜日

特許の出願準備

久しぶりに特許を書いています.
いつぶりだろう?と思い特許情報プラットホームで検索してみたところ,2014年5月に太陽電池関係の研究で出願した以来であるようです.

一昔前までは,「大学の研究者が特許なんて…」という意見もありました.
実際,最近までは特許の数は昇進試験などではほぼ全く評価されなかったようです.

もし営利目的のみで研究を始めてしまったら,企業と変わりません.
そうなると私自身面白くないといいますか,大学で研究をしている意義がなくなってしまうように思います(ノーベル賞受賞者が毎回,安易な利潤追求に警鐘を鳴らしていることは,皆さんもご存じだと思いたいです).

ただ,基礎研究を進めて行くと,ときに有益な結果に至ることはあります.

よい例が国際科学技術財団様からの助成研究で,私の場合は「生分解性ゴムの開発」と銘打っておりますが,科学的な興味は「ゴム」自体ではなく,その過程にある化学反応や理論なんです.

私の研究スタンスはおおよそこんな感じなので,いつも「面白そう」 + 「役に立ちそう」で研究テーマを設定するよう心がけています.今回も研究成果が世の中の役に立ちそうだという感触を得たので,先月辺りから急ピッチで特許化の準備を進めています.

大学の知財部門や弁理士の方に助けて頂きながら,書類を書いているのですが,なかなか大変です.この辺りは伊藤良一先生に共感します.

とはいえ,やはり自分の発見で世間に貢献できることは嬉しいですね.

また,特許化すると企業と同じようにライセンスビジネスができますから,共同研究を進めやすくなります.特に大量生産や商品化を目指すとなると,企業の皆様とタッグを組んだ方が話が早いんです.化学工業は技術的な部分以外に,生産設備の法規制などハード面での問題がありますから,既存の企業プラントで生産できれば効率的です.

というわけで,この特許を足がかりに,共同研究のパートナーが見つかると嬉しいのですが,果たしてどうなるでしょうか…って,まずは出願しないと始まりませんね.