バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年2月8日水曜日

卒論のスライド作り

卒論や学会の前になると,ふだんとは違う仕事がやってきます.

それは,発表スライドの作成指導です.

もちろん,私は広告代理店やデザイナーではなく,一介の科学者に過ぎません.
当然格好よいスライド作りは教えられませんが,それでも自分の経験から,学生を指導するのが務めです.

それで,これはなかなか辛い業務だなと思い始めました.
状況が説明しにくいので,少し具体的に考えてみましょう.

皆さん,「5分で話せる桃太郎の紙芝居を作ってください」と言われたら,どんな絵を描きますか?

こういうのはおおよそ相場が決まっていて,

1. 洗濯してたら桃が流れるの図
2. 桃から赤ちゃんが生まれるの図
3. 旅立ちの図
4. 仲間が集まる図
5. 鬼ヶ島での戦絵巻
6. 宝箱を運んで凱旋の図

まぁ,こんなところでしょうね.
なぜこうスラスラと答えられるかというと,物語の要点や名場面が把握できているからだと思います.

実は研究発表のスライドも同じで,まず研究をスラスラ説明できるほどに頭を整理しないと,うまい発表が作れません.研究の課題と目的,実験とその解釈,そして成果の評価を把握してから作業に取りかかるべきです.

逆に先にスライドから作ってしまうと,場合によっては削除せざるを得なくなります.
例えば先の桃太郎で「精巧な柴刈りの図」を描かれてしまっても,5分の枠内でそれを活かすことはできないのです.とはいえ,あまりにも立派なスライドだと,削除するにも哀れな気分になります

さらに悲劇的なのは,実際に研究で苦労した部分と,発表で強調すべき部分が一致しない点です.例えば9ヶ月かかった実験と,その結果を受けて実施した2週間の実験では,後者の方が大事だったりします.
このあたりを冷静に受け止められると助かるのですが.「あんなに苦労したのに発表しないのかよ!」と恨まれると,私も困ってしまいます.いつもフォローに気を遣う部分ですね.

情報過多のスライドは,混乱を生むだけで逆効果です.
例えば「スターウォーズの内容で5分の紙芝居を作れ」なんて無茶な要求です.
この場合は主人公のみにスポットを当てるか,大局のみ説明するか,思い切った情報の削除が必要でしょう.

研究も同じで,大局に影響しない,例えば「念のため確認しておいた」ような実験は,質問が来ない限り表舞台には登場しません
(論文でもページ制限があると割愛しますが,これらは別添資料として発表するので,まだ状況はマシです).

こうして苦労した実験が日の目を見ることなく終わると,ますます悲しくなります.

華のある研究発表ですが,指導者にはむしろ残酷な作業なのかもしれません.



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