バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年5月25日木曜日

ベルギー滞在記-3 発表,そして晩餐会へ

APME2017に参加するため,ベルギーはゲントに来ています.

学会は2日目に進み,いよいよ私の講演です.


といっても学会は撮影禁止ですから,写真はありません.

今回はMacromoleculesという高分子科学で最高峰の論文のChief Editorを務めるProf. Timothy Lodgeと,環状高分子合成の世界的な権威である,東工大の手塚先生の間に講演することになり,絶好の機会に恵まれました.

当然,部屋もとても大きく,かなり緊張するような状況でしたが・・・

実はあまり緊張しないんですよ,私.
というのも,今回は共同研究ではなく,信州大チームでの単独の研究ですから,講演に失敗したところで他人に気遣いすることはありません.
失敗すると,後悔よりは,どちらかというと聴衆に申し訳ない気分になるので,とにかくわかりやすく資料を作ろう,とか,そういう努力は怠りませんが.

結果的に上手い講演とはお世辞にも言えませんでしたが,講演は無事に終わり,ありがたいことに,次の招待講演のお話を賜りました.
また,前日に議論した中国の研究者を初め,講演後に海外の方から意見を頂くことができました.

今回,参加人数が極めて多く,会場の制約から口頭発表の人数は大きく制限されてました.私自身,このような機会を頂戴したこと自体が奇跡的だと思っているのですが,運営委員会の皆様には感謝しかありません.

さて,講演後は楽しい晩餐会です.
会場はここ,旧魚市場.中世からの建物を改築したそうで,以前はボーリング場だったとか.


って,ここ,私,初日に観光で来てますよ!
地球の歩き方にも名所と書いてありました!
まさかこんな素晴らしいお店で食べられるとは.


水辺なので,ギルドの建物を眺めることができます.
始まるまで,ここで食前酒を頂きながらベルギー,中国,日本など各国の方と会談しました.


これがメニューです.わくわくしますけど,ちょっと品数が少ない?


前菜 兼 魚料理です.
まさかの刺身で,日本食のオマージュが見られました.美味しい味付けでした.


こちらは肉料理.柔らかい味でした.


そしてデザート.

この3品を4時間かけて食べたわけで,その間にものすごい量のワインを勧められましたが,私はそんなに飲めません.

このあと,終わってから午前3時過ぎまでダンスパーティーでした.
私はもう23時に帰りましたが,皆さん元気ですね!翌朝,普通に講演しているわけで,欧米人の体力には脱帽です.


2017年5月24日水曜日

ベルギー滞在記-2 いよいよ講演が始まる!

学会2日目,実質的に初日とも呼べる朝です.
今日は,いよいよ世界各国から集結した研究者たちの講演が始まります.



開催国ベルギーや私たち日本はもとより,アメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,オランダ,ロシア,オーストリア,トルコ,中国,韓国,インド,南アフリカなど20カ国以上から500名以上の参加者が最新の研究成果を持ち寄る,2年に1回のイベントです.

・・・と,ここまで煽るように頑張って書きましたが,実際には書くことがほとんどないんですよね.

何せ専門的な話を書いても意味不明でしょうし,
そもそも学会は非公開ですから,写真を撮るわけにもいきません.

私としては,以前に論文を読んでいた中国の研究者に挨拶ができて,同じような考えで研究を進めているので,意見交換ができてよい収穫になりました.
他にも旧知の研究者に再会できたので,よかったです.きっと9月の国際会議でも会えることでしょう.

で,終わったらビアパーティーです.


これはチェリーで味付けしたビール.この手のビール(アメリカのBlue Moonとか)は苦手なんですが,今回のはスムージーみたいな味で美味しく頂けました.


これはトラピスト派の修道院で醸造しているビール.
ベルギービールは味が濃くて,アルコール濃度が8-10%もあります.
日本のようにアテがあるわけでもなく,ただただ水のようにビールだけを空きっ腹に飲み続けるわけで,私は数杯で参ってしまいました・・・

こうして,学会2日目は無事に終わったのでした.

ベルギー滞在記-1 学会初日

APME2017 (International Conference on Advanced Polymers via Macromolecular Engineering; 高分子工学による先端ポリマーに関する国際会議)に 参加するため,ベルギーはヘントに滞在しています.

昨日は夕方に現地に到着しただけで,実質的な初日は今日からです.
というわけで,まずは観光に・・・と,仕事しろと言われるかもしれませんが,今日は学会初日なので,夕方の歓迎レセプションまで基本的に暇なんです.そもそも休日返上で来ているので,サボっているわけではありません.

さて,中心部は徒歩30分もあれば回れるという,小さな街です.


綺麗なところですね.ヨーロッパは古い建物を大事にしているので,現在でも絵に出てくるような街並みが残っています.
日本は古い建物は,戦争や地震で破壊されてしまったんですよね.そう考えると,なんかむなしくも思えます.


なんと,これらの建物は中世のギルドの拠点だったんだとか.700年近い歴史があるわけです!



街歩きをしていたら,大学院時代の同級生に会うという,まさかの展開に!
まぁ,同業者が集まっている会議で,それも小さな街ですから,当然と言えば当然の遭遇ですが.

というわけで,再会を祝して乾杯!


実はビールを飲みに来たのではなくて,昼食の目当ての料理は12時からと言われて,しばらく飲みながら待っていたのです.
で,待望の料理とは・・・



皆さんもご存じの,ベルギーワッフルです.



実はこの店,MAXさんはベルギーワッフル発祥の店.
当地ではブリュッセルワッフルと呼ぶのですが,これはヘントでは名が通らないだろう,とのことで首都の名前を冠したのだとか.東京ディズニーランドみたいなものですね.

思った以上に軽くてカリッとしていて,それほど甘くない.
日本でもこの味が広まればよいのに,というほど美味でした.

このあと大聖堂を見たのですが,撮影禁止なので悪しからず.
続いて,鐘楼に上りました.



ありがたいことに,エレベーターが着いています.
帰りは階段で下ってみましたが,まぁ中世の建物らしく,1人分の幅しかない螺旋階段なので,すれ違いにかなり苦労しました.


このように,眺めは最高です.遠くで風力発電している様子も見えました.

これは巨大なオルゴールです.
半鐘が音楽を奏でていたのですが,こういう仕組みだったんですね.


こちらは酒屋さんの壁.窓4面にぎっしりビールが詰まっています.
同じ種類は1つとなく,最密充填でこの有様ですから,すごいですよね.

このあと,学会の歓迎レセプションに参加しましたが,そこではシャンパンが際限なく振る舞われました.
私はお酒は好きな方ですが,これを嚆矢に連日ビールだらけの学会となり,さすがに頭が痛くなってきました・・・

では,学会本編のレポートは次回に!


















2017年5月21日日曜日

ベルギー到着

久しぶりの海外出張,国際会議でベルギーに来ています.

金曜日の職務後に成田空港近郊に移動し,一泊してから朝の便でベルギーへ.
今回は幸運にも大学のプロジェクトにご支援頂けることになり,私の研究費ではないので,ANAの直行便での移動が叶いました.直行便なんて初めてですし,ANAでの渡航もたぶん初めてです.とにかくフライトが楽で快適です.

金曜日は朝までゼミを行い,午後は簡単な実験指導と再来週の学会発表で使うポスター5枚の印刷と,とにかく大忙しでした.
こんなに余裕なく海外に行くと,現地についても狐につままれたような気分です.

が,ご覧の通りの風景でして・・・



ええ,ベルギーはゲントです.



この空のきれいさはヨーロッパですよね.
日本の空もきれいですが,ヨーロッパの空は色が明るい印象です.


で,ベルギーに来たら飲まないわけにはいかないでしょう,ベルギービールです.

朝5時30に起きて,こちらの22時30分,つまり日本時間の翌5時30分に就寝したのですから,まさに24時間戦いました状態でした.

聞くところ,同じ旅程の日本人は皆さん疲れて即就寝してしまったようで,わざわざビールを飲みに行った時点で呆れられているかもしれませんが,こうして現地時間の適切な時間に就寝すると,時差ボケが全く起こらないのです.

2017年5月10日水曜日

ベルギーからの東奔西走

5月です,ええ5月です.
毎年,一番忙しい季節がやってきました.

ふつう,年末年始や年度末が忙しさのピークなんですが,
私の場合は5月です.

まず,来週にベルギーへ行って参ります.
用務は国際会議での発表で,こちらの発表者リストに私の顔を垣間見ることができます.
場所は久保裕也選手の活躍でも有名なヘントです.
また落ち着いたら,ベルギー訪問記でも書きますね.

そして,土曜日夕方に帰国し,月曜日からは高分子学会で幕張メッセにいます.
この学会では,自分自身は英語発表1件,ポスター発表2件,学生の代理発表は4件,共同研究で2件の,総勢9件の発表があります.ひゃぁ.

学会終了後,連結で共同研究関係の打ち合わせがあり,横須賀に出張です.
金曜日に信大に戻り,3週間ぶりにゼミを開催します.

週が明けた月曜日は研究室で3週間ぶりに勉強会を主催し,講義をします.
翌日は朝から車を運転し,松本キャンパスで講義です.
その翌日は東京で繊維学会があり,学生と併せて3件の発表があります.
東京には週末まで滞在します.

この間,約1ヶ月ですが,たったの数日しか研究室におりません!
例年忙しい5月ですが,ここまで集中したの初めてですね.
無事に乗り越えられるのか,不安でなりません.

2017年5月8日月曜日

臭素だ臭素だ!

GW明け,初日から大忙しでした.

今日の主役はこれです.

ただの白い箱?
いやいや,拡大してラベルを読んでみて下さい.

臭素

ですよ!

ニオイのモト,と書いて臭素ですよ!

え,タイトル見たから知ってる?
それは結構,では早速箱を開けてみましょう.


なんか見るからにヤバそうなのが出てきましたよ!


これ,体積はたった30 mL程度の量ですが,重さはなんと100 gもあります.

つまり,水の3倍の重さですよ.もう鉄でも持ち上げているような感覚です.

臭素は液体ですが,非常に危険なのでアンプル管(※)に封緘されています.
どのくらい危険かというと,洗剤の「混ぜるな危険」を混ぜると発生する塩素ガス,あれを強化した物質だと思って下さい.

※アンプル管:写真のママですが,蓋がなく上部のガラス部を割って中身を取り出します.漫画でお医者さんが注射するときに使うアレです.昔は栄養ドリンクもアンプル管で売っていたとか.

では,実験のために中身を取り出しましょう!

と言いたいのですが,これが結構大変です.
ここまで大きくて肉厚のアンプル管となると,親指で先端をへし折るにも折れず,折れたら折れたで大怪我します.
下手をすると傷口から臭素が侵入して・・・オォ痛い痛い!

実際には,開口部にヤスリで傷を付けて,そこに赤くなるまで熱した小さなガラス球を押しつけます.すると,温度差で亀裂が拡大して瓶の周りを一周し,パックリと先端部が切り取られるという寸法です.

これを,焼き玉法と言います.

最初の傷の付け方が下手だと,亀裂が四方八方に走って瓶が割れかねません.
また,下手に焼き玉を押し当てると,中身(臭素)が加熱されて危ないです.

というわけで,一発で正確に仕留める必要がありますが,これにはコツが必要なので・・・素人の学生に任せるわけにもいかず・・・はい,私がやるしかありませんね.


こちらはあらかじめ準備しておいた反応装置です.
右端の部品が滴下ロート,ここに臭素を入れて一滴ずつ慎重に反応させます.

では,いきますよ~



さっきと同じ装置ですが,右上に褐色の液体が入っていますよね.
そこから毒霧が出ています.これが臭素です.

でも,よく見て下さい.
下部のフラスコの中身は,無色のママです.

臭素が反応して別の物質に変化しているので,色が消えるんです!

わかりやすいですね~

実際には学生に説明しながら実験していることもあって,

装置の組み立てに1時間,

臭素の滴下に4時間,
(一気に入れると危ないうえ,望まぬ反応が起こるので,一滴ずつ加える)

さらに2時間反応させて・・・

ここまでで6時間経過

もちろん,この合間に余った臭素や汚れた器具を安全にするための処理があります.
ちなみに,この作業は水道水からのカルキ抜きと同じで,ハイポを使います.金魚を飼ったことがある人には定番ですね.


さて,6時間が経過しましたが,生成した物質は催涙性が非常に高く,そのまま取り扱うと大変だそうなので,さらに別の物質に変換する次の実験を連結しました.
この実験にさらに4時間.

というわけで,9時から始めて19時に終わる,実際には別業務との兼ね合いで,20時に終わり,片付けを含めると21時に終わるという有様.
学生さんもよく頑張りました!

疲れた~~~!(>_<)


研究室がついに完成!

とにかく忙しい新年度,全く更新せぬまま4月が終わってしまいました.

さて,平成29年度を迎え,研究室は3年目
いよいよ完成しました!

これまで不足していたもの,それは学生です!
3年目となると,大学院の修士課程2年生から学部4年生までが勢揃いし,
名実ともにラボらしくなりました.

かつてこの地を支配した名将,武田信玄は「人は城」という言葉を残していますが,
現代でも人の営みの本質が変わらない以上,この言葉もそのまま活きます.

実験科学の研究とは,ある事象について網羅的に実験して,
その背景にある本質を理解する活動です.
この,「網羅的に」がポイントで,まさに人海戦術が必要になるわけです.

それだけでなく,いや,それ以上に大事なのは,研究室の雰囲気.
やはり大人数の方が賑やかで楽しいですし,
先輩・後輩の縦の繋がりがあってこその組織です.
大勢が同じ目的に向かって研鑽することで,これまでになかった相互作用が生まれることを期待しています.

と,まぁ書いたわけですが,実際に総勢11名の大所帯となると・・・

器具が足りない!部屋が狭い!

う~ん,まだ完成ではなさそうですね・・・
というわけで,教育研究業務4月はあっという間に過ぎ去ってしまいました.