バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年6月23日金曜日

3度目の正直!事実は自分の目で確かめろ!!

学会シーズンも終わり,実験に注力できる季節になりました.

今週の実験は,これです.


あ・・・もう飽きたって!?
そんなこと言わずに,見てって下さいよ!

ええ,臭素です.

実は,前回の実験も成功とは行かず,3度目の実験となりました.

化学反応としては大して難しくはなく,これまで危険なところ以外は,新人君に任せていたのですが,どうも上手く行きません.

それで,今回は私自身が直接,実験することにしました.

薬品や反応の性質などの事前調査から,実験ノートの記録まで,すべて学生に任せず,自分で責任を持って実験します.

今回は念を入れて,購入した試薬を事前に精製するところから始めました.
といっても厳密に実験している時間はないので,真空蒸留という荒技でショートカットしましたが.こちらは,その真空蒸留の様子です.



以前に述べましたが,
本学ではテニュアトラック制度を理念に忠実に実施しているため,
私のような若手研究者でも,研究室を独立して主宰しています.

当研究室はまだ黎明期ですから,いろいろ試行錯誤して研究の方向性を模索したいと考えています.むろん,チャレンジングな実験を沢山しますので,新しいテーマの開始直後には,今回のように成功しないこともしばしばあります.

本来,研究室の主宰者は研究統括や研究資金の獲得,
論文や講演などの成果報告に注力すべきですが,

私は実験科学者です.

私が企画した実験に「失敗」したと言われても,

自分の手で確かめないと信用できません.

実は学会直前にも,同様のケースで別の新人君の実験を代行し,成功裏に納めていました.

さて,今回はどうなるでしょうか・・・?
まずは実験の様子をご覧下さい.

video


あ,言い忘れましたが,研究室に新しいカメラを導入したので,動画で実験風景をお伝えすることができます.どうもブログの仕様で,解像度は低くなってしまうようですが.

この動画では,

臭素が滴下されて反応し,退色していく様子

がよくわかります.

実は,ここまでは新人君でもできます.
もちろん危険な臭素は私が取り扱うのですが(そもそも劇物指定されていますし),
滴下するだけなら,そうそう失敗しません.

問題はここからです.

この反応で生成した化合物ですが,
催涙性が極めて高く,この状態で取り扱うのは極めて危険です.

そこで,さらに次の反応を実施して,
安全な化合物に誘導する必要があります.

私は直感的に,この2段階目の反応が思うように進んでおらず,実験が成功しないのだと考えていました.以前の反応の様子や分析データも,その可能性が極めて高いことを示していました.

そこで,今回は事前に類似の反応に関する文献を調査しつつ,疑わしい要素をすべて排除するように,入念に実験をしました.

例えば,粉末状の試薬を加える際に,カタマリを細かく砕く,とか.
単純な話ですが,結構重要だったりします.

で,やってみると,反応の様子が以前と全然違う.
文献の記述に近い兆候が見られています.

それから,なんやかんや,ありまして・・・



フラスコの底に,無色(白色)の針状結晶が出現しています!
これこそが欲しかった化合物であると思われます!!

これを原料に,新しい高分子が合成できるわけですね.

まだ生成物を分析するまで安心はできませんが,ひとまず成功と考えて問題ないでしょう.

やはり,自分で実験することが大事です.



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