バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2017年12月13日水曜日

(論文紹介)酸クロリドに匹敵する高速エステル化反応の開発

この度,イハラニッケイ化学工業株式会社との共同でChemistry Letters誌に研究成果を発表しました.


Esterification with Aromatic Acyl-1,2,4-triazole Catalyzed by Weak Base at the Rate Comparable to Acyl Chloride

Y. Kohsaka,*1 K. Homma,1 S. Sugiyama,2 Y. Kimura2
(1信州大学繊維学部, 2イハラニッケイ化学工業株式会社)
Chemistry Letters, in press (https://doi.org/10.1246/cl.170975)




簡単に言うと,

安全かつ高速でエステルを合成する化学反応を見つけましたよ,

という内容です.

原料となるのは,タイトルにもあるアシルトリアゾールという試薬.
もともと,アシルトリアゾールを用いたポリエステル合成の研究を進めていたのですが,
研究の早い段階から,

「まずは基本となる化学反応についてもキチンと調べておきましょう」

と,提案をしました.

アシルトリアゾールのエステル化反応は古くから知られていたのですが,
困ったことに,標準的な手法は高分子合成に適用しにくい状況でした.
そこで,高分子合成に特化して反応をカスタマイズする必要が生じたんです.

研究の結果,

適切な触媒の存在下では,
アシルトリアゾールがカルボン酸塩化物を凌駕する速度でエステルを与える

ことを見出しました.

「触媒をうまく選択すれば,反応速度は改善する」

とは予想していましたが,
まさか最強と言われる酸塩化物を超える結果が生じるとは思ってもいませんでした.

論文では,反応速度の測定から,反応メカニズムの解釈,分子構造と反応性の相関など,かなり細かい議論をしています.

つまり,ぜんぶ有機化学に関する内容です.

私は高分子化学が専門ですので,
まさかこんな論文を書く日が来るとは思ってもいませんでした.

今回の論文は自分にとっても未踏領域でしたので,
非常によい経験となりました.

きっかけを作って下さった,
イハラニッケイ化学工業株式会社ならびに共著者の皆様に心より感謝申し上げます.




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