バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2018年11月4日日曜日

テニュア取得&准教授昇進

長らく更新しておりませんが,
それは5月から2週間に1回のペースで出張が入り,
残りの期間も常時学生指導やら来客やらで一杯いっぱいだったからです.

さて,標題の通り,無事にテニュアを取得し,10月1日で准教授に昇進しました.
わざわざ自分で言うのもどうかと思ったのですが,
いつまでもブログタイトルが「テニュアトラック助教」というのも誤解を招くので,
この場を借りて訂正させて下さい.
Japan Prizeの担当者様へ そのタイトルですが,変更可能でしょうか・・・?

さて,最近あまりにも忙しいので,
このブログもそろそろ閉幕…というか,不定期更新とさせて下さい.

過去記事も充実していますので,
今後は専ら論文の紹介や,イベントの告知が中心になると思います.

もともと,半分は世間への化学啓発が目的でしたが,

もう半分は,
研究室立ち上げ~テニュア取得までの流れが,
同じ境遇の研究者の参考になればと思って始めていました.

実際,いろいろな方から,参考になりました~,とか,
こんなテクニックがありますよ~とか,
情報交換の場としてはそれなりに役に立っていたと思います.

今回のテニュア取得をきっかけに,
このブログの役目は半分終わりました.

また,私自身,とても忙しくなりました.
研究室には1期生が博士課程の学生として残っていますが,
彼と時々,1年目は暇だったなぁ,なんて昔を懐かしむほどです.
実際,私も当時は毎日実験していましたが,
いまではピンチヒッター的な形でしか実験に関われていません.

忙しくなった理由は様々です.
担当講義が増えたこと,論文にするべき成果が積もり始めたこと.
指導学生が11名になり,学生に向き合う時間が総じて増えたこと.
この1年~半年では,招待講演を頂く機会も一気に増えました.

これからは,研究者としてより本業に時間をかけたいと思います.

最後に,このブログの目的の半分,世間への化学啓発については,
引き続き何らかの形で関われたらと思います.
高校へは要請があれば可能な限り出講を検討しますし,
以前の日本科学館での研究者トークのように,
科学館への関わりは継続して続けて行けたらと思います.

ブログ自体も完全に閉鎖するわけではありませんので,
今後ともどうぞよろしくお願いいたします.

2018年9月13日木曜日

α-機能化アクリル酸エステルに関する最新の総説が出ました

タイトルのまんまですが,

「機能材料 9月号」に,α-機能化アクリル酸エステルに関する最新の総説が掲載されました.
以前の総説に最新の成果を加えてアップデートしたほか,今回は学術的な思想についても簡単に述べています.

5月から総説を3つも上梓したのですが,その1つがこれです.

もう1つは以前にも紹介しましたが,
カルボン酸ジクロリドの合成と重合に関する総説です.

こちらは「マテリアルステージ 6月号」に掲載されました.

残りの1つも,間もなく公開されると思いますので,
どうぞよろしくお願いします.

2018年9月5日水曜日

イノベーションジャパン2018

8月30日,31日に東京・有明で開催された,
イノベーションジャパン2018に参加してきました.

このイベントはJST主催で,「大学見本市」と銘打たれている通り,
大学で開発された先端技術を市場に展開すべく,
産学連携の機会を探るプロモーションイベントです.


会場は東京ビッグサイト.
繰り返しますが,人生初のビックサイトです.


ここに来ると,コイツを片手に準備するのがお約束のようです.
さすがコミケの聖地!!


何もない空間から,ほんの数時間でそれらしいブースができあがりました!
お手伝い頂いた事務方の皆さまに感謝です.


今回は初参加だったのですが,
このイベント,出展するだけでもかなりの競争倍率とのこと.
事務方からの推薦で出展に応募することになりましたが,
採択されたということは,かなりの幸運に恵まれたことになります.

写真を見ておわかりのように,ポスターが地下鉄の壁面広告のごとく輝いています.
もともとポスターの大半をキャッチコピーに使うという大胆なデザインだったのですが,
このLEDパネルとうまくマッチして,非常に目立つ格好となりました.

過去のこの経験が,大変役に立ちました.
学生時代から,この科学館で私を育てて下さった皆さまに感謝です.


イベントは始まってみると大盛況.
200枚持ち込んだ名刺が増刷を意識するまで捌けてしまい,
総説や試薬カタログと言ったマニアックな資料は開始早々に売り切れてしまいました.

私の展示会場には客寄せロボットもなく,
大学公式のアメニティやVR体験などのPRポイントもありません.

すべて「ガチ商談」ですので,
あまりの盛況ぶりに事務方の皆さまも驚かれていました.

私の率直な感想は,

「みんな,やっぱり化学が好きなんだよ!」

基礎と応用の狭間にある高分子化学は,学術的にも実用的にも面白いんです.

このイベントで出会えた皆さまと,いつか一緒にお仕事ができることを願っています.
ご来場,ありがとうございました!

2018年9月4日火曜日

東海高分子学生研究奨励賞を受賞!

8月24日,25日は第167回東海高分子研究会講演会に参加して参りました.

この会において実施した研究発表で,当研究室所属の風間茜さん (M1) が東海高分子 学生研究奨励賞を受賞しました!

詳しくはこちらもご覧下さい.

お知らせ

風間 茜さん (M1) が東海高分子研究会で学生研究奨励賞を受賞

http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles//news/2018/08/120366.html

これで,昨年に続く受賞となりました.

私も審査員をしていましたが,名古屋大学の学生さんの発表の素晴らしさに衝撃を受けていたので,こうして賞に滑り込むことができただけでも光栄です.
これを励みに,さらに教育に取り組んでいきたいと思います.

2018年8月7日火曜日

広告デザイナー?

イノベーションジャパン2018に向けて,
展示パネルや配布プリントを作成しています.

言うまでもなく私の本職は研究者・教育者なので,
見本市での展示物作成は専門外です.

とはいえ,ここは昔取った杵柄で,
科学館の企画に長らく関わらせて頂いた,学生時代の経験が活きるというもの.
Adobe Illustratorの基本は抑えているので,
ここはイラレで頑張って作ってみました.

が,やっぱり広告は学会ポスターと違います.
アイキャッチが重要なことはわかっていますが,どう作ればよいのやら…

デザイン指南書を読んでみたり,
Googleで「広告・企業・ポスター」で検索してみたり,
急造キャッチャーならぬ急造広告デザイナーを目指して四苦八苦.

なんとか,資料の作成を終了しました.大変だった~(汗
頑張って作ったので,当日はどうぞ宜しくお願いします…

って,営業も専門外なんですが…

学生を連れて国際会議に初参戦(オーストラリア,ケアンズ)

6月末から7月上旬まで,
オーストラリア,ケアンズで開催されたIUPAC Macro2018に参加していました.

この学会は国際純正応用化学連盟 (IUPAC)が企画する高分子化学の総会で,
高分子の合成,物性,加工,機能などを扱う多くの研究者が成果発表,意見交換をするイベントです.

今回は日本からの参加者も多く,
私が普段参加している国際会議とは雰囲気が全然違います.
さすが,総会.

それでは,さっそく学会を振り返って見ましょう!


オーストラリアと言っているのに,マーライオンとはどういうことか!?

実は,今回は航空チケットの関係でシンガポール経由だったのですが,
シンガポールのチャンギ空港では,トランジット(乗り換え)待ちの乗客向けに無料の市内観光ツアーを開催しているんです.

これには大変大助かりで,
当初は「8時間もヒマだよ~(泣)」という状況だったのですが,
お陰様で時間の有効活用ができました.

さらに,シャワーまで無料で使えるラウンジ券も付いてくるんです.
この空港,世界一の評判ですが,格安航空券でこのサービスなら,そりゃそうだ…



オーストラリアの国民食と言えば,ミートパイ
私はスカイ・クロラを読んで以降気になっていた料理で,
以前のオーストラリア出張の際に,ミートパイのファンになってしまいました.

今回はホテルは学生と同室,食事なしの素泊まりプラン,という超格安旅行でしたので,このお店のミートパイにはお世話になりました.


学会が始まって,歓迎パーティーでの一コマです.
地元名物,クロコダイルに触れるおもてなし.
別会場では蛇を首に巻き付けるアトラクションもあった模様で,チャンスを逃しました!
私,は虫類は結構好きなんですよね.


同伴したD1の萩原くん.
初の国際会議に私が送ったアドバイスは,「酒を飲んでから行け!」
日本だと怒られてしまいそうですが,国際会議のポスター発表は,ビールやワインを片手に気軽に意見交換するのが基本.
むしろ,スーツを着込んで堅苦しくすると,近寄りがたく,人が来なくなってしまうんです.

もちろん,酔っ払うのはダメです.緊張をほぐす程度に,適量が重要です.

実際に始まってみると,立て続けに海外の研究者が来訪し,
私が声を掛けるヒマは一切ありませんでした.
英語で発表するよい経験になったことでしょう.

なお,やはりアドバイスは功を奏したらしく,後で本人も納得していた模様.



国際会議では,著名な研究者が多く参加していることも魅力.
講演を聴くだけで,論文を読んだのに等しい価値があります.
萩原くんも,スター研究者の発表を生で聞く経験は大きな財産となったようです.


私自身も,初日に口頭講演として成果発表をしました.
驚いたことに,非常に多くの方が関心を持ってくれ,
このあとのポスターセッションや晩餐会,さらにはその2次会で質問攻めに.

特に,前から私や萩原君が注目していたこの分野のパイオニアから,
強い興味を持って頂いたことに感激しました.

本来,こちらから挨拶するタイミングを狙わなければならない立場の大先生が,
広い会場からわざわざ私を探して,声を掛けて下さったんです.しかも2回も!
それで,来日の際に改めて会談をすることが決定しました.
なんという幸運!運が開けるとは,こういう出来事を言うのでしょうか.


そんなわけで,その日まで研究を頑張る意欲が沸いてきたのでした.
やはり国際学会はいい!

最後に,経済的なご支援を賜りました皆さまに心から感謝致します.
学生ともども,お陰様で大収穫を得ることができました.


2018年8月4日土曜日

イノベーションジャパン2018に出展します

8月30日,31日に東京ビックサイトで開催される,
イノベーションジャパン2018に出展致します.

このイベントは「大学見本市&ビジネスマッチング」と銘打たれているだけあって,
大学で開発された新技術・新製品を広く市場にアピールすることが狙いのようです.
いわゆる産学連携の活性化を図る行事ですね.

私自身,このようなイベントは初参加ですので,大変楽しみにしております.

基本,採算度外視の基礎研究なのですが,
ありがたいことに産業界からの注目も頂いており,
ほぼ毎月何らかのお問い合わせを頂いている状態です.

そのような状況を本学の担当者にも認知して頂き,
大学の代表として出展する機会を頂きました.

当日は学生1名を連れて参加しますので,どうぞよろしくお願いします.

ちなみに,これが人生初のビックサイトです.
出身大学のせいか,あるいは多趣味なせいか,
しばしば勘違いされて,かのイベントの常連との誤解を受けますが,
これがビックサイト・デビュゥですのでお手柔らかにお願いします.

学生が優秀ポスター賞を受賞!!

6月13日~15日に開催された繊維学会年次大会にて,当研究室所属の永井光騎くんが優秀ポスター賞を受賞しました!

詳しくは以下の記事をご覧下さい.


繊維学会に入会して3年目,ポスター審査を依頼して1年目の快挙です!
審査をご担当頂いた皆さま,学会運営に携わられた皆さまに心から感謝申し上げます.

2018年6月18日月曜日

学部の顔に採用!!(2018年6月限定)

最近の研究成果が評価され,
信州大学繊維学部の一押し研究として
以下のページに紹介されることになりました.

信州大学繊維学部 研究テーマ いちおし!
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/research-theme/

次は大学の顔を目指して頑張ります…で,いいのかな?

月刊「化学」に寄稿しました

化学を学ぶ者,
化学を生業とする者なら
必ず触ったことがあるであろう,
月刊「化学」


50年の歴史を誇る,
日本の化学を語る上でも重要なコミュニケーションの場です.

そんな月刊「化学」の編集部様からお声がけ頂き,
今月号に寄稿致しました.


著作が「化学」に掲載されるのは
これで2回目なのですが,
1回目は匿名で投稿した
若手研究者が考える展望に関する
意見が採用されただけなので,
実質これが初めてです.

今回,嬉しかったことが2つ.

まず,
今回は他人の研究を紹介するコーナーでの寄稿だったのですが,
元の論文を読むと,
どうにも納得できない部分がありました.

そこで,著者に英文手紙を書いて,
メールで問い合わせてみました.
もちろん,今回記事にする経緯も含めてです.

その結果,回答が得られただけでなく,
その方と今度面談できることになりました!
実際は来日期間中に私も講義があるので,
お互いスケジュールを合わせられるか,
何とも言えない状況ですが,
たいへん嬉しいお話しです.

もう一つは,
別のページに私の恩師が寄稿されていたこと.
これはいい思い出になります.

次は自分の研究で寄稿できるように,
頑張ります!



2018年6月17日日曜日

頂いた「こたえ」への回答(日本科学未来館トークイベント)

日本科学未来館でのトークイベントでは,
研究者から皆さまへ「問い」を持ちかけることが
ルールになっていました.

私から皆さまへの問いかけは,
「どんな性質のプラスチックがあったら
いいと思いますか?」

最終的に,ボードに貼りきれないほどの
回答を頂きました.
ざっと数えると50枚以上でしょうか.

頂いたご回答に対して,
現代技術がどの程度進んでいるのか,
お答え致します.

ここではプラスチックだけでなく,
同じ高分子の仲閒である,
ゴム,繊維,ゲル(ジェル)にも話を広げて
回答したいと思います.


「動く!」

実はこれ,もうあります.
ここでは日本の2つの研究をご紹介します.

1つ目は中央大学の池田冨樹先生のご研究です.

まずは,こちらの動画をご覧下さい
(クリックすると動画が再生/ダウンロードされます)

(出典)
T. Ube  K. Kawasaki  T. Ikeda, Adv. Mater.  2016, 28, 8212.
Photomobile Liquid‐Crystalline Elastomers with Rearrangeable Networks

これは,紫外線や可視光線に反応して動く(曲がる)ゴムです.
面白いですね.私は学生時代に,初期の研究を知って感激した思い出があります.


2つ目は,東京大学の吉田亮先生のご研究です.

こちらの動画をご覧下さい
(クリックすると動画がダウンロードされます)

(出典)
S. Maeda  Y. Hara  T. Sakai  R. Yoshida  S. Hashimoto, Adv. Mater.  200719, 3484.
Self‐Walking Gel

論文のタイトルにもあるように,「自立歩行ゲル」です.
これ,電源も何も付いていないのに,
ゲルの中で生じる化学反応を動力源に歩くんです.
これも私の学生時代に発表された論文で,
もう衝撃でした.


「色が変わる!!」

実はこれも,あります.
どうやって色を変えるかによって,
いろんなパターンの研究があるのですが,
ここでは個人的に大好きな日本の研究を紹介します.

こちらの動画をご覧下さい
(クリックすると動画がダウンロードされます)

(出典)
K. Imato, T. Kanehara, S. Nojima, T. Ohishi, Y. Higaki, A. Takahara, H. Otsuka, Chem. Commun. 2016, 52, 10482.
Repeatable mechanochemical activation of dynamic covalent bonds in thermoplastic elastomers

これは九州大学の高原淳先生,東京工業大学の大塚英幸先生らによるご研究です.
引っ張ると,その瞬間に色が変わる不思議な材料ですよね.

これ,引っ張る力によって化学反応が生じて,分子の構造が変化することに基づいています.


「自己再生できる!
「絶対に割れない」
「壊れない」

実はこれも,あります.
それも,研究があまりに多すぎて,紹介できないくらいに…

いま,内閣府が主導する国家プロジェクトが進んでいるので,
詳しくはそちらのホームページをご覧下さい.


「環境に優しい
「二酸化炭素が出ない」
「温暖化を抑える」
「石油を使わない」

これは,まさに,いま研究中ですね.

例えば,東京農工大学の中野幸司先生は,
二酸化炭素を原料とするプラスチックの合成法を研究されてます.

名古屋大学の佐藤浩太郎先生,上垣外正己先生らは,
植物由来の物質を原料にするプラスチック,特にビニール類の合成を研究されています.

一方,群馬大学の橘熊野先生,粕谷健一先生らも,
植物由来のプラスチックや,
自然界で水と二酸化炭素に分解するプラスチックの研究をされています.

こちらはビニール以外のプラスチック類が中心で,
例えば,ペットボトルの材料であるPETを,
植物から合成する方法が開発されました.
(リンクは英語の研究論文です)

それぞれ上のリンクをクリックすると,
皆さまのご研究を紹介するホームページを見ることができます.

私自身もこの分野には興味がありますが,
少しアプローチを変えて研究を進めています.
いずれ,ご紹介するときが来ればと思います.

「育つ
「成長する」

この発想,いいですね!

プラスチックを合成する反応に,「成長反応」と呼ばれる過程があります.
原理的には,これをゆっくりと進めればいいわけです.

実生活では,接着剤が固まる様子が,まさにこれに該当しますね.

ただ,初めから真の性能を発揮できないプラスチック,
どのような場面で活躍するのでしょうか.

このあたりが材料開発の難しいところで,
何の役に立つのか,を考えてから研究をしなければ成りません…

が,正直私は,「面白ければいい」と思っています.
使い方は,後から考えればいいんです!!

「空飛ぶじゅうたん」があったらいいな,
と思ってチャレンジすることが大事で,

「空飛ぶじゅうたんがあれば,新幹線はいらないかもね」
なんて考えていたら,ワクワクできません!

役に立つかどうかわからない,
だけど何か面白そう,
そんな研究の魅力を理解して頂けると幸いです.

私は時間ごとに性質が変化するプラスチックがあったらいいな,
と思っていろいろ研究を考えているところです.
いつか,実現するといいですね.



他にも素敵なご意見を頂きましたが,
長くなってしまったので,とりあえず,
ここまでとしたいと思います.

たくさんのコメント,ありがとうございました!!

お陰様で大盛況でした!(トークイベント@未来館)

お陰様で,
日本科学未来館でのトークイベント
大盛況に終わることができました.



スタジオに用意されてる椅子では
全然数が足りなくて,
トークだけでも30分間,
待ち時間も含めると40分以上も
立ったままのお客様もいらっしゃいました.
長くお付き合い頂き,心から感謝しています.

たくさんの質問を頂き,
講演後も制限時間いっぱいまで
話を聞いて下さり,
たいへん感激しました.

毎日使いながら,
その正体はあまり知られていない,
プラスチック.

そして,その背景にある,
高分子化学とその最先端.

この機会に,
興味を持って頂ければ幸いです.

皆さまから頂いた「問い」へは,
次の記事で回答させて頂きます.

最後に,この企画を支えて下さった日本科学未来館スタッフの皆さま,
楽しい時間を共有できた古いボランティア仲閒に,
心から御礼申し上げます.

どうもありがとうございました.

2018年5月28日月曜日

高分子学会年次大会@名古屋

第67回高分子学会年次大会に参加して参りました.
今回は研究室から私を含めて7名,共同研究も含めると9件の研究発表がありました.

今回は初めて招待という栄誉を賜りました.
招待であれ自主参加で荒れ全力を尽くすことに変わりはないのですが,
地方大学で独立して研究をしていることを考えると,大変有り難い待遇でした.

研究発表8件はいずれも反響が大きく,私にも学生にも励みになったようです.
今回は運営にも関わっており,1箇所に常駐することがなかなか難しかったのですが,
わざわざ講演後に別会場まで私を追いかけて質問して下さった方もおり,心から感激しました.

学会は,情報交換の場でもあります.
同世代の先生たちとディスカッションして,今後のヴィジョンについて語り合えたことは,かけがえのない財産になる予感がします.
もちろん,夜の部も含めて楽しみました.3日連続で「世界の山ちゃん」で懇親会(もちろんメンバーは別)という流れには驚きましたが.

ちょっと寂しいのは,私以外は皆さん旧帝国大学や,それに準ずる大都市圏の先生方と言うこと.
最新の論文の話になると,「気になってたけど本学では読めないんです…」となったり,気づけば測定機器のレンタルの話ばかりお願いしていたり.
同じような境遇の著名な研究者も多く居るので,地方大も盛り上げられればなぁと思います.

学会は,出会いの場でもあります.
今回,約50枚の名刺を持っていったのですが,全然足りずに現地で増刷しました.
懐には大変痛いのですが,増刷した価値があったので良しとしましょう.

独立してラボを構える,という立場が立場なだけに,
アカデミアや研究討論で出会った企業研究者との名刺交換だけでなく,
企業の人事部への挨拶や,スポンサー関係者への御礼など,
いろいろな方面で営業しました.

あっという間の3日間でしたが,楽しく過ごすことができました.
次回は6月の繊維学会です.連戦ですが,頑張りましょう.

2018年5月15日火曜日

一般向け研究者トーク@日本科学未来館

このたび,日本科学未来館で開催の以下の研究者トークに登壇することになりました.


トークセッション
「現代の錬金術? 化学がつくる驚異のプラスチック!」
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1805111422837.html


私は日本科学未来館のボランティア解説員として,
展示解説や展示企画に18歳から約10年間携わってきました.
今回,古い仲閒の紹介でこうした凱旋トークを実施することができ,
心から感謝しています.

今回は実験を用意するなど,できるだけわかりやすく工夫できればと考えていますので,
当日はどうぞ宜しくお願いします.

2018年4月27日金曜日

日本化学会で優秀講演賞(学術)を受賞!

3月末の話になりますが,日本化学会 第98回春季年会で発表して参りました.
これまでずっと1人で参加してきたのですが,今回は初めて学生2名を連れての参加です.


高分子学会とは異なり,いろいろな分野の講演が聴講できるのがこの学会の魅力.
学生たちにもよい刺激になったようです.

学会には,これまで一人か大人数での参加だったので,
3人という少人数は非常に珍しいケース.
学生ともじっくり話せて,貴重な時間となりました.

そして本日,嬉しいお知らせが.


なんと,このときの講演で,優秀講演賞(学術)を頂くことができました.
詳しくは本学ホームページをご参照下さい.

この講演は36歳未満の正会員(つまり学生ではなくプロ研究者)を対象に,
英語講演から特に優秀な講演に対して授与されます.

実はこれまで余り関心がなく,日本語で講演してきたのですが,
昨年度の受賞者から「なぜ英語が堪能なのにやらないのだ!?」と指摘され,
挑戦してみることにしました.
初めての挑戦で受賞,これは大変有り難いです.

審査員の方がどなたなのか,何となく想像が付くので,ますます恐縮です.
なぜなら,今回の講演と言うよりは,これまでの研究活動全般に対して評価頂いたような気がするからです.

私は国際的には栄誉を頂いていましたが,
国内の登竜門と呼ばれる賞には全く縁がなかったので,
テニュアトラックの評価を前に,大変助かりました.

重ねてありがとうございました.



2018年4月2日月曜日

2期連続!日本化学会東海支部長賞

新年度が始まりましたが,しばらく年度末の話題が続きます.

まず,当研究室学部4年生の風間茜さんが,日本化学会東海支部長賞を受賞しました!


直前まで研究発表をひたむきに頑張り,努力していたので,
最高の報いだったのではないでしょうか.
私も研究発表を傍聴していましたが,文句なしの受賞だと思います.

昨年の宮崎匠さんの受賞に続き,研究室としては2年連続となります!
後輩はプレッシャーでしょうが,まぁ頑張って貰いましょう!

2018年3月27日火曜日

トップジャーナルが選ぶ,新進気鋭の研究者に選出!

英国王立化学協会が発行するPolymer Chemistry (Impact Factor: 5.375, Q1) は,高分子化学ではアメリカ化学会刊行のMacromoleculesシリーズと双璧をなす,世界最高峰に位置する雑誌です.

このたび,このPolymer Chemistry誌からEmerging Investigator(新進気鋭の研究者)として選出され,私の紹介記事が掲載されました.

[PDF版・Open Access]
http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2018/py/c8py90042f

[HTML版]
http://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2018/py/c8py90042f

世界の若手,中堅研究者から30名のみが選出される狭き門ですので,
大変感謝しています.
ここでお名前を挙げることはできませんが,
私とは縁もゆかりもない,
となる海外の著名な研究者が推薦して下さいました.

もちろん推薦だけで事足りるわけではなく,
それから学生たちがRefereeからの辛辣な要請にめげることなく実験を繰り返し,
成果や反証を揃えての採択となりました.

実際,こうした高分子合成や高分子反応の根幹に興味を抱く研究者は年々減ってきており,今回のキーワードである「流行の研究」に全く沿っていないため,一緒に名を連ねている他の研究者と比べて,評価もさほど高くないようです.
論文の紹介記事を見ても,当該分野が流行し,研究が注目されるまでの経緯が一切説明されていませんので.

しかしながら,何も研究者全員が同じ方向を向いて研究する必要もないわけで,
私はこうしたスタンスで今後も研究を進められればと思います.
こんな基礎研究でも私を推薦して下さった研究者の方や,
論文査読で好意的なコメントを下さった方々に,
改めて心から感謝の意を申し上げたいと思います.

2018年3月1日木曜日

愛機との別れ

私の研究に欠かせない機械,それが核磁気共鳴分光計,通称NMRです.

初期の投稿で,そのすさまじい威力を解説しました.
なんてったって,数ミリグラムのサンプルさえあれば,
たちどころに,その分子構造を教えてくれるんです!

あ,いえ,ちょっと誇張が入っています,
測定結果から分子構造がどうなっているかを考えるのは,我々研究者ですから.

何はともあれ,NMRとはほぼ毎日,長いときは10時間近く向かってきました.
もはや,研究の相棒です.

いま話しているNMRは研究室にあるミニサイズの卓上版ではなくて,別棟にある学部共通のデカい方です.
そのNMRくんですが,老朽化が激しく,修理するにも部品も入手困難になってきたので,この度更新されることになりました.

今日が,その最後の夜です.


今日もいつもと変わらぬ風景ですが,もうお別れなんですよね.
寂しくなります…

って,実は本体はこっち.(あっちは超電導マグネット)


おびただしいコードが見えますが,やはり旧式,時代を感じます.
最近は何度も不調になって,本当に手間の掛かる子でした.


この操作卓(マウスの右)と画面ともお別れです.

最晩年はオートサンプラー(自動化装置)が壊れて,
教職員が自ら手動で運用する状況だったので,
日曜と夏期休暇を除いて,ほぼ毎日毎晩この風景を眺めていました.



このNMRは私にとって8台目,使用期間は3番目に短いのですが,
廃棄するその瞬間に立ち会うのは初めてですので,
こんな寂しい気分になるとは思いもよりませんでした.

道具を大事にすること,

それは実験科学者の基本ですから,やはり寂寥感を感じ得ないのでしょうね.

明日はもう,ただの鉄クズとして,ゴミ処分場に運び出されてしまうのです
(注:これは比喩で,実際はそうそう簡単に処分できるものではなくて,運び出すだけでも恐らく数日を要します)


この機械が数々の新規物質を証明し,沢山の論文を生み出してきました.
当研究室の功労者の1人といっても過言ではありません.

最後にありがとう,さようなら,と感謝の意を込めて,お別れを告げてきました.





2018年2月27日火曜日

高分子学会Webinarで講演します(10月23日)

全く更新が途絶えたので,お察しかと思いますが,超絶忙しい毎日です.

修論,卒論とあっという間に時間が過ぎ,息つく間もなく入試シーズンに突入しました.

今年は研究室1期生が修士号を取得する記念すべき年ですが,指導教員としては短期間に沢山の論文指導をする必要があるわけで,それはもう大変な作業でした.
このまま後期日程,企業様との契約更新面談などを交えつつ,日本化学会が終わるまで大忙しとなりそうです.

そんな中でも,細々と総説1報と英語論文数報を書いております.これらは公開されたタイミングで,順次ご紹介できればと思います.

来年度の予定も少しずつ決まってきました.
公開可能な範囲はまだ少ないのですが,そのうちの一つが標題の講演会.


講演No.1805

「α-機能化アクリルモノマーの設計による重合反応と機能材料の開発」

高坂 泰弘(信州大繊維) 2018年10月23日(火)開催

概要
アクリル化合物のα-置換基はモノマーの反応性、ポリマーの物性の両面に大きく影響するほか、ビニル基やエステル置換基との協同効果に基づく新たな機能をもたらす。本講演では基本原理から開発戦略、最新の研究成果までを幅広く概説する。



これ,高分子学会が主催するweb上の講演会で,オンラインで講演を生配信しながら,チャット機能で講師に質問をするという企画です.
私はネット上で将棋の生中継と大盤解説を見ますが,あんな感じですね.

私も初めての経験なので,全くイメージが持てませんが,ラジオのDJ気分でやればよいのでしょうか.
まだ講演タイトル以外は何も準備していませんが,どうぞよろしくお願いします..



2018年1月19日金曜日

Special Guest from the World

This is the translated article from the previous post.
(この記事は前の記事の英語版です)

Prof. Michael P. Shaver at the University of Edinburgh visited our group and made a lecture for us and the related  groups.


The University of Edinburgh is a prestige university ranked in 17th in the world. Prof. Shaver is young leading professor at 41 years old and works in the editorial board of European Polymer Journal (EPJ; IF 3.66).

He has a wide range of research fields; for example, polymer synthesis by controlled radicals, biosensors, and organometallic  chemistry. His latest paper is published in the high-impact journal, the Journal of American Chemical Society.

However, his most superior and famous works are on the developments of sustainable plastics prepared from natural plants, as he directs 'Green Materials Laboratory. I feel elegance in Mike's research is not only in the starting materials from plants but also in the complete recycle of the plastic wastes. That is, PET, a typical polyester for PET bottles, is not recyclable due to the high stability. Therefore, what we can do is limited to the reuse after refabrication to fibers or new PET bottle. It's not recycle but recuse. On the other hand, Mike's new polyester can be rapidly decomposed to the starting material by the treatment of some catalyst. After the decomposition, we can facially purify the starting materials to prepare a fresh polyester again. This is recycle!



Then, let's check my research project financially supported by Japan Prize Foundation. In my first post in this blog, you can find the phrases: 'Development and functionalization of rubbers with biodegradable main chains prepared from biomass monomers' and 'Synthesis of functional materials from natural plants'.

Yes, my first aim is same to Mike's!

Now we proceeds our researches on degradable materials from the other viewpoints, as our results have proposed unexpected and amazing direction...and importantly, my interests exist in other regions.

With such background, I listened to Mike's presentation in the international conference held in UK and introduce my results. It was great pleasure for me that Mike got strong interests! We have agreed with future collaboration and continuous  contacts.

Amazingly, a big chance came soon! Mike has been invited from RCMS in Nagoya University as an invitation professor. Of cause, I call Mike to my university!!



Our discussion with Mike was very fantastic and intelligent. I have got many many new ideas and inspirations during his stay, as if we were in international conference. Now wind blows from the world!

"We tried this experiment, but the result was not so good'
'Ah, we have similar inspiration but slightly different from yours....how about it?'

Such opinion exchanges repeated. Talk with a researcher who shares perspective with me.... how happy and exiting it is.

It is also precious time for my students, as they can directly ask their questions to the author of the papers we read.

"Feel the world in lab"

I can conclude as such. I hope students encouraged to have interests in studying abroad.

研究室に世界が来た

イギリスのエディンバラ大学より,
Prof. Michael P. Shaverが当研究室を訪問し,
研究室内外に向けて講演して下さいました.




エディンバラ大学は世界大学ランキング17位の超名門大学です.
Shaver先生は41歳と若いながら,
European Polymer Journal (EPJ; IF 3.66) の編集者を務める新進気鋭の研究者です.  

研究は幅広く多岐にわたり,
ラジカル制御による高分子合成,バイオセンサー,有機金属化学など,
多方面での業績で知られており,

しかしながら,
なんと言ってもGreen Materials Laboratory (緑の材料研究室)と関したグループを率いているだけあって,
最も著名な研究は植物由来の循環型プラスチックの開発です.
Shaver先生の研究のすごいところは,原料が植物由来,というだけでなく,
回収した廃棄物もまた,原料に完全にリサイクルできてしまうところです.

例えば日常的に使われているPETボトルのPET(ポリエステルの一種)は,
PETとして再利用するしかありません.
つまり,ポリエステルとして繊維に加工したり,PETボトルに再成型したり,
せいぜいそんなところです.
これはリサイクルではなくリユースですね.

Shaver先生が開発したポリエステルは,ある触媒で原料まで一瞬で分解できます.
原料に戻れば,不純物の除去が容易になりますから,
完全に新品を作り直すことができます.
これが,リサイクルです.



さて,ここで久々に国際科学技術財団様の助成対象となった,
私の研究内容を見てみましょう.

「バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化」
「植物から高性能材料を合成する」

と記述されています.
そう,最初の志はShaver先生と同じなんですね.

私の場合は,研究が斜め上の方向に進んでしまい,
また興味の核心は違うところにあるため,
現在は異なった観点で分解性材料の研究を進めていますが.

そんな中,昨年にイギリス出張した際に,
Shaver先生の講演を聴き,「僕にもこんなのがあるよ」と私の研究成果を説明したところ,強く関心を持って頂き,

「いつか共同で仕事がしたいね」
「お互いに情報交換を継続的にやっていこう」

という話になりました.

そんな中,今回なんと,
名古屋大学物質科学国際研究センターの招聘教授としてShaver先生が来日することになり,上田にも来訪頂くことになりました.



Shaver先生とのディスカッションは非常に楽しく,知性に溢れるもので,
まるで国際会議に参加しているように,たくさんの着想を得ることができました.

「少し前にこんなことをやったんだけど,芳しくなくて」
「僕はこんなことを考えているよ,どうかな」

なんていう流れがお互いに何度もあって,
考え方が共通している研究者に出会えると,こんなにも楽しいものかと驚きました.

また,私が訪問する場合とは異なり,学生にとっても貴重な経験となったようです.

「研究室に世界が来た」

この一言に尽きるでしょう.
これを機に,海外にも興味を持つ学生が増えることを願っています.