バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

髙坂泰弘
(信州大学繊維学部 テニュアトラック助教)

2018年1月19日金曜日

研究室に世界が来た

イギリスのエディンバラ大学より,
Prof. Michael P. Shaverが当研究室を訪問し,
研究室内外に向けて講演して下さいました.




エディンバラ大学は世界大学ランキング17位の超名門大学です.
Shaver先生は41歳と若いながら,
European Polymer Journal (EPJ; IF 3.66) の編集者を務める新進気鋭の研究者です.  

研究は幅広く多岐にわたり,
ラジカル制御による高分子合成,バイオセンサー,有機金属化学など,
多方面での業績で知られており,

しかしながら,
なんと言ってもGreen Materials Laboratory (緑の材料研究室)と関したグループを率いているだけあって,
最も著名な研究は植物由来の循環型プラスチックの開発です.
Shaver先生の研究のすごいところは,原料が植物由来,というだけでなく,
回収した廃棄物もまた,原料に完全にリサイクルできてしまうところです.

例えば日常的に使われているPETボトルのPET(ポリエステルの一種)は,
PETとして再利用するしかありません.
つまり,ポリエステルとして繊維に加工したり,PETボトルに再成型したり,
せいぜいそんなところです.
これはリサイクルではなくリユースですね.

Shaver先生が開発したポリエステルは,ある触媒で原料まで一瞬で分解できます.
原料に戻れば,不純物の除去が容易になりますから,
完全に新品を作り直すことができます.
これが,リサイクルです.



さて,ここで久々に国際科学技術財団様の助成対象となった,
私の研究内容を見てみましょう.

「バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化」
「植物から高性能材料を合成する」

と記述されています.
そう,最初の志はShaver先生と同じなんですね.

私の場合は,研究が斜め上の方向に進んでしまい,
また興味の核心は違うところにあるため,
現在は異なった観点で分解性材料の研究を進めていますが.

そんな中,昨年にイギリス出張した際に,
Shaver先生の講演を聴き,「僕にもこんなのがあるよ」と私の研究成果を説明したところ,強く関心を持って頂き,

「いつか共同で仕事がしたいね」
「お互いに情報交換を継続的にやっていこう」

という話になりました.

そんな中,今回なんと,
名古屋大学物質科学国際研究センターの招聘教授としてShaver先生が来日することになり,上田にも来訪頂くことになりました.



Shaver先生とのディスカッションは非常に楽しく,知性に溢れるもので,
まるで国際会議に参加しているように,たくさんの着想を得ることができました.

「少し前にこんなことをやったんだけど,芳しくなくて」
「僕はこんなことを考えているよ,どうかな」

なんていう流れがお互いに何度もあって,
考え方が共通している研究者に出会えると,こんなにも楽しいものかと驚きました.

また,私が訪問する場合とは異なり,学生にとっても貴重な経験となったようです.

「研究室に世界が来た」

この一言に尽きるでしょう.
これを機に,海外にも興味を持つ学生が増えることを願っています.

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